リーナー技術基盤チームの黒曜(@kokuyouwind)です。
2024年11月13日〜15日にシカゴで開催された RubyConf Chicago に参加し、 "Do LLMs dream of Type Inference?" というタイトルで登壇しました。
自分にとって初めての海外カンファレンスでの登壇、初めての英語発表ということでかなりドキドキでしたが、無事に終わって良かったです。
今回の記事では簡単にレポートをまとめたいと思います。
会場
会場は Hilton Chicago で、いくつかの宴会場や会議室などいくつかの部屋を貸し切って開催される形でした。
メインホールは大宴会場で、ステージ前方は椅子席ですが中央から後方にかけては円卓が並べられており、食事やハックデーでの開発エリアに活用されていました。
地下にスポンサーブースとサブ会場があり、こちらも結構な広さでした。
聴講セッション
今回のカンファレンスは3日間の開催ですが、2日目はハックデーでワークショップメイン、3日目は15時に閉会というスケジュールだったため、セッションの数自体は少なめでした。
その中でも印象に残った・面白かったセッションを2つ紹介します。*1
Sounds, Synths, and Sonic Pi! Oh My!
Sonic Pi という、 Ruby でコードを書いて音楽を演奏できるツールの紹介発表。
まずド初っ端から Soul Tron という YouTube のMAD動画が流れ始めます。
その後、いろんなシカゴ発アーティストの楽曲ムービーと、それを Sonic Pi で演奏するコードを交互に紹介していきます。なお筆者は洋楽何もわからない勢です。
洋楽全然詳しくないからわからんけど、SOFT CELLって有名なグループなのか(会場の反応がめっちゃ良かった)
— 黒曜@Leaner Technologies (@kokuyouwind) 2024年11月13日
あ、ハウス・ミュージックってシカゴ発祥なんだ(無知)
— 黒曜@Leaner Technologies (@kokuyouwind) 2024年11月13日
最終的に、Sonic Pi でインストを流しながら発表者が Black Engineer ラップを披露しました。
何を言ってるのかよくわからないと思いますが、後日録画が出たらぜひ見てみていただければと思います。Black Engineer ラップが披露されてるので。
突然始まるBlack Engineerラップ
— 黒曜@Leaner Technologies (@kokuyouwind) 2024年11月13日
急にドラゴンボールネタも挟んできたし自由すぎるw
— 黒曜@Leaner Technologies (@kokuyouwind) 2024年11月13日
総じて自由で、なるほどこれが海外カンファレンス…! となって面白かったです。
なお発表自体もライブでコードを編集すると流れる音楽が変わっていき、トラックごとに loop do
をうまく使うなど Ruby でやってるメリットもよくわかってとても興味深かったです。
Ableton LIVE のトラック制御をコードでやってるような雰囲気でした。
余談ですが、Rubyコードで音楽演奏する発表に既視感があるなーと思ったら、 RubyKaigi 2016 のセッション「It's More Fun to Compute」がシンセサイザーについての講演で Sonic Pi も披露されていました。*2
Who Wants to be a Ruby Engineer?
2日目朝の基調講演ですが、クイズ番組でした。
何を言っているかよくわからないと思いますが(デジャヴ)、まずはこちらの写真をご覧ください。
クイズ番組でした。
答えがわからなかったらオーディエンス*3やテレフォン*4などがあり、完全に某クイズ番組です。
インタラクティブ感がすごいですね。
ちなみに、他のセッションですが「Fifty Years of Ruby」でも客席の Matz にちょいちょい歴史的事実の確認が行われていたり、日本のカンファレンスと比べて客席を巻き込む演出が多い印象でした。
自分の登壇について
自分の登壇は3日目の朝10時からでした。かなり直前までスライドを修正したり発表練習をしたりしていました。
今回リーナーからは自分ひとりの参加で、なおかつ裏で RubyKaigi トラックが被っていたので登壇中の写真は残せないかなーと思っていたんですが、 _ko1さんさんに写真を撮っていただきました! 多謝!
発表の要旨としては「LLM使った型推論は何がどこまでできるのかわからないので、型推論能力を評価するベンチマークが欲しいよね。作ろうとしてるよ」という話をしました。*6
総じて会場の反応が良く、発表後も「Great Presentation」と褒めてもらえたので嬉しかったです。あと英語がなにも伝わらない、といったことがなくて安心しました。
カンファレンス全体について
初めての海外カンファレンスでしたが、総じておおらかというか自由で面白かったです。
また時間枠に余裕があり、食事やハックデーなどで他の人と同席する時間も多く取られているため、全体としてコミュニケーションに比重が置かれているなと感じました。
一方で RubyKaigi のように新機能やディープな技術の話を聞けるという感じではないため、「新しい情報を学びに行く」「技術的な話を聞きに行く」というよりは「いろんな人の発表を楽しみにいく」「海外の人と交流して新しい発見をする」というメンタルで行くのがいいのかな、と思います。*7
シカゴについて
せっかく片道12時間以上かけてシカゴに行ったので、シカゴの観光もしてきました。
写真でざっと紹介します!
楽しかったです!(小学生並の感想)
渡航費用について
Speakerは会場である Hilton Chicago に 3 泊無料で招待していただけたのですが、それでも往復航空費用だけで結構な金額になりました。
今回は日本Rubyの会の制度である日本国外のRubyカンファレンスへの参加渡航費支援に応募し支援いただけたため、自腹を切らずに登壇することができました。
日本Rubyの会の皆さんに感謝を捧げるとともに、海外登壇に興味のあるエンジニアの方はぜひ積極的に活用すると良いと思います!*8
まとめ
RubyConf、初めての海外カンファレンスかつ英語発表でかなり不安だったんですが、ちゃんと英語が通じたっぽくて良かったです。
海外カンファレンスならではの空気も感じられたのでとてもいい経験になりました。会社の仕事と全く関係ない発表内容でしたが、全面的にサポート頂いた会社とメンバーの皆さんに感謝します。
また現地で食事や外出にお誘い頂いたり英語面で助けていただいたりした日本勢各位(Matz さん・a_matsudaさん・_ko1さん・mametterさん・ima1zumiさん)にも大変お世話になりました、ありがとうございました!
RubyConfの運営の方によると「もっと日本人に遊びに来て欲しい」らしいので、興味を持った方がいたらぜひ次回参加してみてください!
*1:紹介してるのは両方変わったセッションですが、さすがに普通のトークセッションのほうが多かったです。
*2:RubyKaigi 2018 のセッション 「Ruby code from the stratosphere - SIAF, Sonic Pi, Petal」でも Sonic Pi の話がされてましたが、こっちはツイート見返した限り聴講してなさそうでした。
*3:客席の人がそれぞれ答えだと思うやつに挙手する
*4:客席にいる Matz が答えだと思うやつを教えてくれる
*5:「RBS Gooseのロゴにいる鳥はガチョウではなくアヒルだが、このアヒルはガチョウのように鳴くのでガチョウとして扱うことができる。これが皆さんご存知の Duck Goose Typing だ」というネタ。RubyKaigiではダダ滑りした。
*6:CfPでは「型推論ベンチマークを作ってLLMの型推論能力を明らかにする」って書いて出したんですが、全然間に合いませんでした。
*7:セッションの技術的な濃さに関して RubyKaigi と比較するのは相手が悪すぎる気もしますが…
*8:自分も同僚のcobachieさんに教えてもらうまで存在を知りませんでした